交通事故後に足のしびれを感じることがあります。神経の損傷や血流の悪化が原因となることが多く、放置すると症状が悪化する可能性があります。
特に、むち打ち症や腰椎の損傷による影響は遅れて現れることもあるため、早めの診察が重要です。
本記事では、交通事故後のしびれの原因や治療法、後遺障害の認定基準、自賠責保険の活用方法について解説します。
適切な診断と治療を受けることで、後遺症を防ぎ、早期回復を目指しましょう。
交通事故後の足のしびれの原因とは？
交通事故の後に足のしびれを感じることがあります。
しびれの程度は軽いものから重いものまでさまざまであり、一時的な場合もあれば、長期間続くこともあります。
事故後のしびれの原因を正しく理解し、適切な治療を受けることが大切です。
交通事故と足のしびれの関連性
交通事故では、衝撃によって神経や血管がダメージを受けることがあります。
その結果として足にしびれが生じることが多くみられます。たとえば、むち打ち症になると首や背中の神経が影響を受け、結果として足のしびれを引き起こすことがあります。
また、事故によって腰部が損傷すると、腰椎に負担がかかり、坐骨神経が圧迫されることで足のしびれや痛みが現れることもあります。
さらに、骨折や打撲によって神経が直接圧迫される場合にも、しびれが発生することがあります。
足のしびれを引き起こす主な原因
交通事故後に足のしびれを引き起こす原因はいくつか考えられます。神経が直接損傷を受けた場合、足の感覚が鈍くなったり、しびれを感じたりすることがあります。
特に腰椎の周囲に強い衝撃が加わると、椎間板が圧迫され、神経を刺激することでしびれが発生することがあります。
また、事故による怪我や固定によって血流が悪くなると、足に十分な血液が行き渡らなくなり、しびれを感じることがあります。
さらに、筋肉や靭帯が炎症を起こし、神経を圧迫することでしびれが発生することもあります。
神経の圧迫による足のしびれ
神経が圧迫されることで足のしびれが起こることは少なくありません。
特に、坐骨神経が影響を受けると、太ももやふくらはぎにしびれや痛みが現れることがあります。
また、事故の衝撃によって背骨の周囲にある脊髄神経が圧迫されると、足の感覚に異常が生じることがあります。
さらに、事故によって足自体がダメージを受けると、末梢神経が損傷し、しびれや麻痺が起こることもあります。
このように、神経の圧迫は足のしびれの大きな要因となるため、早期の診断と適切な治療が必要です。
交通事故による症状とその認定
交通事故によって、体にさまざまな症状が現れることがあります。その中でも、しびれや痛みは事故後に長期間続くことが多く、日常生活に支障をきたす場合もあります。
こうした症状が長引く場合、後遺症として認定されることもあります。後遺症の認定を受けることで、適切な補償を受けることが可能になります。
ここでは、交通事故後のしびれの症状や、後遺症の認定基準、痛みやしびれの等級の違いについて詳しく説明します。
交通事故後のしびれの症状
交通事故後にしびれの症状が現れることは珍しくありません。事故の衝撃によって神経が損傷したり、圧迫されたりすることで、手足に違和感やしびれが生じることがあります。
特に、むち打ち症や腰部の損傷によって神経が影響を受けると、事故直後だけでなく、数日から数週間経ってからしびれが現れることもあります。
しびれの程度は軽度なものから、強く痛みを伴うものまでさまざまです。
しびれの原因としては、神経の圧迫や炎症、血行不良などが考えられます。例えば、腰椎の損傷によって坐骨神経が圧迫されると、足のしびれや痛みが続くことがあります。
また、むち打ちによって頚椎の周囲に炎症が起こると、手や腕にしびれが生じることがあります。交通事故後にしびれが長引く場合、できるだけ早めに専門医に相談することが大切です。
後遺症の認定基準とは？
交通事故による症状が長期間続く場合、後遺症として認定されることがあります。
後遺症として認定されるためには、症状が医学的に証明され、かつ、日常生活や仕事に支障をきたす程度のものであることが条件となります。
後遺症の認定は、主に医師の診断書や画像検査の結果をもとに判断されます。
例えば、MRIやCT検査によって神経の圧迫や損傷が確認された場合、それがしびれの原因であると医学的に証明されることになります。
また、治療を続けても症状が改善せず、医師が「症状固定」と判断した場合には、後遺障害等級の申請が可能になります。
後遺症の認定を受けることで、適切な損害賠償や保険金の請求が可能になります。そのため、事故後にしびれが続く場合は、早めに医師の診断を受け、必要な書類を揃えておくことが重要です。
痛みやしびれの等級の違い
交通事故による後遺症は、症状の重さによって等級が分けられています。後遺障害等級は1級から14級まであり、数字が小さいほど重い障害と判断されます。
しびれや痛みの程度によっても等級が異なり、具体的には、神経がどの程度損傷しているか、どれほど日常生活に影響を及ぼしているかによって判断されます。
例えば、神経が完全に損傷し、手や足がほとんど動かせない場合は高い等級に認定される可能性があります。
一方で、しびれがあるものの、軽度で日常生活に大きな支障がない場合は、比較的低い等級に分類されることが多くなります。
また、神経の損傷が画像検査などで確認できるかどうかも、等級の決定に影響を与えます。
後遺障害等級の認定を受けることで、保険会社からの補償額が決まるため、適切な診断を受けることが大切です。
事故後にしびれや痛みが続く場合は、早めに専門医の診察を受け、後遺症の申請に必要な証拠を揃えておくことが重要です。
放置のリスクと後遺障害について
交通事故後に足のしびれが現れた場合、そのまま放置すると症状が悪化し、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
しびれの原因が神経の損傷や圧迫である場合、適切な治療を受けずに放置すると、後遺障害として残ることもあります。
事故後の体の異変を軽視せず、早めに適切な対応をとることが大切です。
足のしびれを放置するとどうなるか
交通事故後に足のしびれを感じても、「一時的なものだから大丈夫だろう」と考えてしまう人も少なくありません。
しかし、しびれの原因が神経の損傷や血行不良によるものである場合、放置すると症状が悪化する可能性があります。
初期段階では軽いしびれや違和感だけでも、時間が経つにつれて感覚が鈍くなったり、動かしにくくなったりすることがあります。
さらに、神経の圧迫が続くと痛みを伴うようになり、歩行に支障をきたすこともあります。
しびれが悪化すると、日常生活だけでなく仕事にも影響を及ぼし、長期間の治療が必要になるケースもあります。
後遺障害の可能性とその影響
足のしびれが長期間続く場合、後遺障害として認定されることがあります。
後遺障害とは、治療を続けても完全に回復せず、日常生活や仕事に支障をきたす状態のことを指します。
例えば、神経が損傷したまま回復せず、足のしびれや痛みが慢性的に続く場合、後遺障害の等級認定を受けることができます。
認定を受けることで、保険金の支給や損害賠償の請求が可能になります。
しかし、症状の程度や医師の診断によって等級が異なるため、適切な検査を受け、医学的な証拠をしっかりと残しておくことが大切です。
後遺障害が認定されると、治療費や慰謝料が支給される場合もありますが、日常生活においては制限が生じる可能性があります。
長時間の歩行が難しくなる、立ち仕事ができなくなる、趣味や運動が制限されるなど、生活の質が低下することも考えられます。
そのため、しびれが長引く場合は、できるだけ早めに専門医に相談し、後遺障害が残らないように適切な治療を受けることが重要です。
放置による身体への悪影響
足のしびれを放置することで、身体にはさまざまな悪影響が生じる可能性があります。
しびれの原因が神経の圧迫である場合、そのままにしておくと神経がダメージを受け続け、回復が難しくなることがあります。
また、しびれが続くことで無意識に足をかばう動作が増え、姿勢が悪くなったり、他の部位に負担がかかったりすることもあります。
例えば、しびれのある足をかばうことで反対の足や腰に負担がかかり、結果として腰痛や股関節の痛みが生じることがあります。
さらに、足の感覚が鈍くなることでバランスを崩しやすくなり、転倒のリスクが高まることも考えられます。
特に高齢者の場合、転倒によって骨折する可能性もあり、生活に大きな支障をきたすことになります。
交通事故後の足のしびれは、軽い症状だからといって油断せず、適切な診察と治療を受けることが大切です。早期の対応によって症状の悪化を防ぎ、後遺障害を残さないようにすることが重要です。
足のしびれの治療方法
交通事故後に足のしびれが続く場合、適切な治療を受けることが重要です。
しびれの原因によって治療方法は異なり、整形外科や整骨院・接骨院、さらには神経治療を専門とする医療機関での対応が必要になることがあります。
早期に適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、後遺障害を残さないようにすることが大切です。
整形外科での治療法
整形外科では、主に画像診断を用いてしびれの原因を特定し、それに応じた治療が行われます。
レントゲンやMRI、CTスキャンなどの検査を行い、骨や神経の状態を詳しく調べたうえで、適切な治療方法が決定されます。
治療法としては、まず鎮痛剤や神経の炎症を抑える薬の処方が行われることが多いです。また、血流を改善する薬を併用することで、しびれの軽減を図ることもあります。
さらに、リハビリテーションの一環として、ストレッチや筋力トレーニングを指導されることもあります。症状が重い場合は、神経ブロック注射などの処置が行われることもあります。
整形外科での治療は、しびれの根本的な原因を特定し、それに基づいた医学的なアプローチを取ることが特徴です。
特に、骨や椎間板の異常が原因となっている場合には、整形外科での診断と治療が必要になります。
整骨院や接骨院での施術内容
整骨院や接骨院では、骨格の歪みや筋肉の緊張を調整することで、しびれの改善を目指します。
交通事故の衝撃によって体のバランスが崩れることが多いため、骨盤や背骨の調整を行うことで神経の圧迫を和らげ、血流を促進する施術が行われます。
主な施術内容としては、手技による筋肉のほぐしや骨格調整、電気治療、温熱療法などがあります。
特に、電気治療は神経の興奮を抑え、しびれの軽減に効果が期待できます。また、超音波治療を用いることで、深部の筋肉や神経にアプローチし、痛みやしびれを和らげることも可能です。
整骨院や接骨院では、体の自然治癒力を高めることを目的とした施術が行われるため、整形外科での治療と並行して通うことで、より効果的に症状を改善できる場合があります。
ただし、骨や神経に重大な損傷がある場合は、医師の診断を受けたうえで施術を受けることが望ましいです。
神経治療における効果的なアプローチ
神経の損傷や圧迫が原因でしびれが続いている場合、神経治療の専門的なアプローチが必要になることがあります。
神経ブロック注射やリハビリテーションを組み合わせた治療が行われ、症状の緩和を図ります。
神経ブロック注射は、しびれの原因となっている神経に直接作用する方法で、炎症を抑える効果があります。
一時的に痛みやしびれを軽減し、その間にリハビリを行うことで、根本的な改善を目指します。また、低周波治療やレーザー治療を用いて神経の回復を促進する方法もあります。
リハビリテーションでは、神経の働きを回復させるための運動療法が行われます。ストレッチや筋力トレーニングを取り入れることで、神経の圧迫を軽減し、血流を改善することができます。
また、整体や鍼灸を組み合わせることで、神経のバランスを整え、しびれを軽減するアプローチも有効です。
神経治療は、整形外科や整骨院での治療と並行して行うことで、より効果的に症状を改善できることが多いです。
しびれが長期間続く場合は、専門医の診察を受け、適切な治療を選択することが重要です。
むちうちとの関連性
交通事故による衝撃で首に強い負荷がかかると、「むち打ち症」と呼ばれる症状が発生することがあります。
むち打ち症は首の痛みや違和感だけでなく、手足のしびれなどの神経症状を引き起こすこともあります。
特に、首から足にかけてつながる神経が影響を受けると、足のしびれが生じることがあります。むち打ち症によるしびれのメカニズムや、適切な治療方法について詳しく解説します。
むち打ち症の症状と経過
むち打ち症は、交通事故の衝撃によって首の筋肉や靭帯、神経が損傷を受けることで発生します。
追突事故や急停車などの強い衝撃が首に加わることで、頭が前後に大きく揺さぶられ、その結果として痛みや違和感が生じます。
むち打ち症の主な症状としては、首の痛みやこり、肩の違和感、頭痛、めまい、吐き気などが挙げられます。
症状が軽い場合は、数日から数週間で自然に回復することもありますが、場合によっては数か月以上続くこともあります。
また、事故直後には症状が軽かったとしても、時間が経過するにつれて悪化することもあります。そのため、事故後に少しでも違和感を感じた場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
むちうちによる足のしびれのメカニズム
むち打ち症は首の損傷であるにもかかわらず、足のしびれを引き起こすことがあります。
これは、首の神経が圧迫されたり、損傷を受けたりすることで、全身に影響が及ぶためです。
首の脊髄は、全身の神経とつながっており、特に腰から足に向かう神経とも密接に関係しています。
むち打ちによって頚椎（首の骨）の位置がずれると、脊髄神経に負担がかかり、その影響が腰や足の神経に伝わることがあります。
結果として、足にしびれや違和感が生じることがあります。
また、むち打ち症によって自律神経が乱れると、血流が悪化し、足のしびれが引き起こされることもあります。
血流の悪化により、十分な酸素や栄養が神経や筋肉に届かなくなり、足にしびれや冷えを感じるようになることがあります。このように、むち打ち症が間接的に足のしびれを引き起こすメカニズムはいくつか考えられます。
むちうちの治療法と足のしびれの改善
むち打ち症の治療では、まず症状の程度を把握し、適切な治療を受けることが重要です。
軽度のむち打ち症であれば、安静にすることで回復することもありますが、症状が強い場合やしびれが続く場合は、専門的な治療が必要になります。
整形外科では、レントゲンやMRI検査を行い、頚椎の状態を確認したうえで、鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬を処方することがあります。
また、炎症を抑えるために湿布や温熱療法が行われることもあります。症状が慢性化している場合には、神経ブロック注射を用いることで、神経の圧迫を軽減し、しびれを改善することができます。
整骨院や接骨院では、骨格の調整や筋肉の緊張を和らげる施術が行われます。むち打ち症による神経圧迫が原因で足のしびれが起こっている場合、首や背骨のバランスを整えることで症状が改善されることがあります。
手技療法や電気治療、ストレッチなどが効果的な場合もあります。
また、自宅でできるセルフケアとしては、温熱療法を取り入れたり、軽いストレッチを行ったりすることが有効です。
むち打ち症による血流の悪化が足のしびれにつながることもあるため、首や肩を温めることで症状の改善が期待できます。
ただし、自己判断でマッサージをするとかえって悪化することがあるため、医師や専門家の指示に従ってケアを行うことが大切です。
むち打ち症による足のしびれは、放置すると慢性化することがあるため、早めに適切な治療を受けることが重要です。事故後に首の違和感や足のしびれがある場合は、専門医の診察を受け、適切な処置を行うことで、早期回復を目指しましょう。
自賠責保険の利用と慰謝料について
交通事故に遭った場合、治療費や慰謝料を請求するために自賠責保険を利用することができます。
自賠責保険は、被害者の救済を目的とした強制加入の保険であり、適切な手続きを行うことで、一定の補償を受けることが可能です。
特に、治療費の負担を軽減し、慰謝料を受け取るためには、適切な手続きを踏むことが重要になります。ここでは、慰謝料の相場や自賠責保険の請求方法、必要な診断書や検査について詳しく説明します。
交通事故による慰謝料の相場
交通事故による慰謝料とは、事故によって負った精神的・身体的な苦痛に対して支払われる補償のことを指します。
慰謝料の金額は、主に治療期間や後遺症の有無によって決まります。
自賠責保険では、通院日数や入院期間に応じて慰謝料が計算されます。一般的に、自賠責保険での慰謝料は、1日あたり4,300円（2020年時点）の計算式に基づいて支払われます。
ただし、実際の支給額は、「治療期間（実際にかかった日数）」または「実通院日数×2」のいずれか少ない方に4,300円を掛けて算出されます。
例えば、3か月（90日間）通院し、そのうち実際に通院した日数が40日だった場合、
40日 × 2 = 80日
90日と80日を比較し、少ない方（80日） × 4,300円 = 344,000円
このように、実際の通院日数が多くても、慰謝料の計算では通院頻度が重要になります。
一方で、後遺障害が認定された場合は、後遺障害慰謝料として等級ごとに定められた金額が支給されます。
たとえば、後遺障害14級の場合は32万円、12級の場合は94万円が目安とされています。より高い等級が認定されると、慰謝料の金額も増加します。
自賠責保険での請求方法
自賠責保険の請求方法には、「被害者請求」と「加害者請求」の2種類があります。
一般的には、被害者自身が直接請求する「被害者請求」が多く用いられます。
被害者請求を行う場合、まず必要書類を準備し、加害者が加入している自賠責保険会社に提出します。請求が認められると、治療費や慰謝料が支払われる仕組みになっています。
具体的な手順は以下のとおりです。
必要書類の準備
- 事故発生状況報告書
- 交通事故証明書（警察で発行）
- 診断書および診療報酬明細書
- 休業損害証明書（仕事を休んだ場合）
- 後遺障害診断書（後遺障害が残った場合）
保険会社へ請求書類を提出
必要書類を整えたら、加害者が加入している自賠責保険の保険会社へ請求を行います。書類に不備がないか確認し、できるだけ早めに提出することが大切です。
審査後、保険金の支払い
保険会社が審査を行い、問題がなければ治療費や慰謝料が支払われます。審査には通常1～2か月ほどかかることが多いですが、不備があるとさらに時間がかかるため、事前に確認を徹底することが重要です。
必要な診断書と検査について
自賠責保険の請求を行う際には、医師の診断書が必須となります。
診断書は、事故による怪我の状態や治療の必要性を証明するために重要な書類であり、適切に作成してもらう必要があります。
特に、むち打ち症や足のしびれなど、画像検査では異常が見つかりにくい症状の場合、詳細な診察を受けることが大切です。
必要な検査としては、以下のようなものがあります。
- レントゲン検査
- MRI検査
- CT検査
- 神経伝導検査
診断書には、怪我の内容や治療の必要性、通院期間などが記載されます。
診断書の内容が不十分だと、慰謝料の請求額に影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ詳細に記載してもらうことが大切です。
また、後遺障害の認定を受ける場合は、通常の診断書に加えて「後遺障害診断書」が必要となります。
これは、事故による後遺症がどの程度残るのかを証明するための重要な書類であり、医師に詳細な記述を依頼することが求められます。
通院とその期間について
交通事故による怪我の治療では、適切な通院が重要となります。
特に、むち打ち症や神経の損傷、足のしびれなどの症状は、一度の診察だけでは十分に回復しないことが多いため、定期的な通院を続けることが求められます。
治療に必要な通院の頻度
交通事故後の治療では、症状の程度や治療内容によって通院頻度が異なります。
初期段階では症状が強く現れることが多いため、できるだけ間隔を空けずに通院することが推奨されます。
一般的に、事故後の治療は週に3～4回の通院が推奨され、むち打ち症や足のしびれがある場合は、最低でも週2回以上の治療が望ましいとされています。
整形外科では薬の処方やリハビリが中心となるため、整骨院や接骨院と併用して通うことで、より効果的な治療を受けられることがあります。
症状が安定してくると、徐々に通院回数を減らし、週1～2回のペースで治療を継続するケースが一般的です。
ただし、自己判断で通院をやめると、後になって症状が再発することがあるため、医師の指示に従って適切な治療を続けることが重要となります。
通院による回復の目安
通院を続けることで、徐々に症状が改善していきますが、回復までの期間には個人差があります。
事故直後から1週間程度は痛みやしびれが強く、炎症が起こりやすい時期となります。
1週間から1か月の間には、徐々に痛みやしびれが軽減し、日常生活が楽になることが多いですが、無理をすると再発しやすくなります。
1か月から3か月ほど経過すると、多くの症状が改善し、日常生活への支障が少なくなりますが、3か月以上経っても症状が残る場合は、後遺障害の可能性も考慮し、精密検査を受けることが推奨されます。
むち打ち症や神経障害が原因でしびれが続く場合、完治するまでに3か月以上かかることもあります。
特に、痛みが続く場合やしびれが慢性化している場合には、治療期間が長引くことがあります。焦らずに適切な治療を続けることが重要です。
治療期間の具体例
治療期間は、怪我の程度や治療方法によって異なります。軽度のむち打ち症であれば、週3回程度の通院で約1～2か月の治療期間が一般的です。
事故直後の痛みはあるものの、1か月程度で症状が軽減し、2か月以内に完治することが多くみられます。
中程度のむち打ち症と足のしびれを伴う場合は、週3～4回の通院を初期段階で行い、その後週2回程度に減らしながら治療を続けることになります。
治療期間は約3～6か月ほどで、しびれが続く場合には長期間のリハビリが必要となることがあります。整骨院や整体を併用することで、症状が徐々に改善していくケースが多くみられます。
重度の神経障害を伴うしびれがある場合は、週4回以上の通院が初期段階で必要となり、その後も週2回程度の治療を長期間継続することになります。
治療期間は6か月以上、場合によっては1年以上かかることもあります。
MRIなどで神経の損傷が確認され、長期的な治療が必要となる場合、後遺障害の認定を受けるケースも考えられます。
このように、治療期間は症状の重さによって大きく異なります。特に、しびれが長期間続く場合には、早めに専門医の診察を受け、適切な治療を受けることが求められます。
足のしびれを改善する生活習慣
交通事故による足のしびれは、適切な治療を受けることが重要ですが、日常生活の工夫や運動・リハビリを取り入れることで、症状の改善を早めることができます。
特に、血流を良くする習慣や神経への負担を減らす工夫を行うことで、回復を促すことが可能です。
日常生活での工夫
足のしびれを改善するためには、日常生活の中で姿勢や動作に気をつけることが大切です。
まず、座るときの姿勢を正しく保ち、長時間同じ姿勢を続けないように意識することが重要です。
デスクワークが多い場合には、1時間に1回は立ち上がって軽く歩いたり、ストレッチを行ったりすることで、血流を促進することができます。
また、寝るときの姿勢も影響を与えることがあります。足のしびれが気になる場合、横向きに寝ると神経への負担が軽減されることがあります。
クッションや枕を使って、腰や足の位置を調整すると、しびれの軽減につながることがあります。
さらに、冷えはしびれを悪化させる原因の一つです。足元を冷やさないようにし、特に冬場は靴下を履いたり、湯船にしっかり浸かったりすることで血行を良くすることが大切です。
食生活でも、ビタミンB群や鉄分を多く含む食品を摂ることで、神経の働きをサポートし、しびれの改善につながります。
運動とリハビリの重要性
足のしびれの改善には、適度な運動とリハビリが重要です。
運動不足になると、血流が悪化し、神経への酸素供給が不十分になりやすいため、軽い運動を取り入れることが推奨されます。
特にウォーキングや軽いジョギングなど、下半身の血流を促す運動が効果的です。
また、リハビリを通じて神経や筋肉の機能を回復させることも重要です。
理学療法士の指導のもとで行うリハビリでは、神経の圧迫を和らげるストレッチや、足の筋力を強化するトレーニングが取り入れられます。
リハビリを継続することで、神経の回復を促し、しびれの軽減が期待できます。
リハビリを行う際には、急激な負荷をかけず、無理のない範囲で進めることが大切です。
特に、事故後に筋力が低下している場合、急に強い運動をすると逆に痛みやしびれが悪化することがあるため、少しずつ体を慣らしていくことが重要です。
ストレッチや筋力トレーニングの効果
ストレッチや筋力トレーニングは、神経の圧迫を和らげ、血流を改善する効果があります。
特に、下半身の筋肉を柔軟にすることで、神経への負担を減らし、しびれの改善につながります。
ストレッチとしては、太ももやふくらはぎの筋肉を伸ばす動作が効果的です。
例えば、壁に手をついてふくらはぎを伸ばすストレッチや、座った状態で片足を伸ばし、足先をつかむストレッチなどが挙げられます。
これらのストレッチを毎日数分ずつ行うことで、足のしびれが和らぐことがあります。
また、筋力トレーニングとしては、スクワットやカーフレイズ（つま先立ち運動）が効果的です。
これらの運動は、下半身の筋力を強化し、血流を良くすることで、しびれの改善をサポートします。
特に、足の筋肉を鍛えることで、姿勢の安定にもつながり、神経への圧迫を軽減することができます。
ストレッチや筋力トレーニングを継続することで、神経の圧迫が緩和され、足のしびれの改善につながることが期待されます。
ただし、運動を行う際には、痛みが強くなる場合は無理をせず、専門家の指導を受けながら進めることが大切です。
【まとめ】交通事故後の足のしびれは坐骨神経痛？
交通事故後の足のしびれは、神経の圧迫や血行不良が原因で発生し、放置すると慢性化する恐れがあります。
特に、むち打ち症や腰椎の損傷による影響は遅れて現れることもあり、早期の診察が重要です。
整形外科や整骨院での治療、自賠責保険の活用により、適切な補償を受けることが可能です。
日常生活での姿勢改善や適度な運動を取り入れ、神経への負担を軽減することも有効です。
しびれが続く場合は早めに専門医へ相談しましょう。
