交通事故の加害者でも整骨院に通える?使える保険と治療費を解説
こんにちは、鹿児島で交通事故治療が得意な整骨院「鹿大前整骨院」院長の宮原です。
交通事故を起こした側になり、自分も首や腰を痛めてしまったとき、「加害者だから自分の治療は全部自費なのでは」「整骨院に通っても保険は使えないのでは」と考える方は少なくありません。
ですが、実際の扱いは事故でどちらの過失が大きかったかだけでは決まりません。
100%自分の過失なのか、相手にも過失があるのか、自分の自動車保険に人身傷害保険が付いているのかなどで、使える補償は変わります。
また、整骨院へ通えるかどうかと、施術費をどの保険から支払えるかは別の話です。体がつらければ施術を受けること自体はできます。
ただし、保険を使うのであれば、事故後の受診順序や保険会社への連絡を間違えないことが大切ですよ。
この記事のポイント
- 交通事故の加害者でも整骨院へ通える条件
- 過失割合によって変わる自賠責保険の扱い
- 人身傷害保険や健康保険を使う場合の注意点
- 整形外科と整骨院を併用するときの進め方
交通事故の加害者でも整骨院に通えるのか
交通事故で「加害者側」と呼ばれていても、ケガをしていれば整骨院で施術を受けることはできます。問題になるのは、誰がその施術費を負担するのかという点です。
ここでは、100%過失の事故、相手にも過失がある事故、自損事故に分けながら、加害者側のケガにどの保険が関係するのかを見ていきます。
加害者でも施術は受けられる
まず知っておいてほしいのは、加害者だから整骨院に行ってはいけないという決まりはないということです。
追突してしまった側でも、交差点事故で自分の過失が大きい場合でも、衝撃を受ければ首の捻挫や腰の痛み、肩まわりの筋肉の張りなどが出ることがあります。
事故の責任と、自分の体にケガをしているかどうかは分けて考える必要があります。
一方で、交通事故の被害者が相手側の保険で通院するケースと、加害者側が自分の保険で通院するケースでは、お金の流れが違います。
ここを混同すると、「窓口負担は絶対0円だと思っていた」「自賠責が使えると思っていた」という行き違いが起こりやすいところです。
◆院長のワンポイントアドバイス
事故後の相談では、「自分が悪い事故なので我慢します」と言われる方もいます。
でも、痛みを我慢して数週間たってから受診すると、事故との関係を説明しにくくなることがあります。
責任の話とは別に、体に痛みや違和感があるなら早い段階で状態を確認しておくのがおすすめです。
加害者側になった事故でも、まずは事故状況と過失関係を落ち着いて確認します100%過失なら自賠責は使えない
自賠責保険は、事故を起こした運転者自身のケガを補償するための保険ではありません。交通事故の被害者に対する基本的な対人賠償を確保する制度です。
そのため、たとえば自分の不注意だけで前方車へ追突し、自分の過失が100%と判断される事故では、自分自身のケガについて自分の車の自賠責保険から治療費を受け取ることはできません。
電柱への衝突や単独での転倒など、相手のいない自損事故も同じ考え方です。自賠責保険で自分のケガを補償する仕組みではないため、別の補償を確認する必要があります。
国土交通省も、自賠責保険は交通事故による被害者を救済するための制度であり、傷害による損害の支払限度額は被害者1人につき120万円と案内しています。
自分の100%過失による事故では、相手方に自分への損害賠償責任がないため、相手の自賠責へ請求することも基本的にできません。
相手にも過失があれば自賠責の対象になることがある
「加害者」という言葉だけで、自賠責が使えるかどうかを判断するのは早いです。
たとえば自分の過失が70%、相手が30%のような事故では、自分は相手に対して加害者側の立場が大きい一方、自分のケガについては相手の過失によって損害を受けた側でもあります。
このような場合、条件を満たせば相手車両の自賠責保険から、自分のケガに対する補償を受けられる可能性があります。
ただし、自賠責保険では被害者側に重大な過失がある場合、保険金が減額される仕組みがあります。
したがって、過失が大きいから必ず0円になるわけではありませんが、過失のない被害者とまったく同じ扱いになるとも限りません。
事故直後の段階では過失割合が確定していないことも多いので、自分で「自分が加害者だから何も使えない」と決めつけず、双方の保険会社へ確認することが大切です。
100%加害者なら人身傷害保険を確認する
100%過失の事故や自損事故で、自分自身のケガを補償する中心になるのが人身傷害保険です。
人身傷害保険は、契約内容の範囲内で、過失割合にかかわらず治療費や休業損害などの実際の損害を補償する保険です。相手がいる事故だけでなく、単独事故も対象になる商品があります。
日本損害保険協会では、人身傷害保険について、保険金額の範囲内で、保険約款に定める基準・計算方法に基づく損害額を、過失相殺による減額をせずに受け取れる保険と案内しています。
ただし、ここで注意したいのが、人身傷害保険に入っているから、どこの整骨院でも自動的に施術費が全額支払われるわけではないという点です。
整骨院での施術が補償対象になるか、保険会社から整骨院へ直接支払う対応ができるか、いったん自分で立て替える必要があるかなどは契約内容や事故状況によって異なります。
来院前に保険会社へ「交通事故で負傷し、整骨院への通院を考えている」と伝えて確認しておくと話が進みやすいですよ。
搭乗者傷害や自損事故保険も確認する
人身傷害保険のほかに、搭乗者傷害保険や自損事故保険が付いていることもあります。
搭乗者傷害保険は、契約車両に乗っている人が事故で死傷した場合に、契約で決められた保険金が支払われるタイプの補償です。
人身傷害保険のように実際の治療費をそのまま補う仕組みとは異なる商品もあります。
自損事故保険は、自賠責保険や人身傷害保険による補償を受けられない単独事故などで関係する保険です。
現在では、人身傷害保険で自損事故に対する補償を行っている商品もあります。
そのため、自損事故保険という名称が証券に見当たらない場合でも、人身傷害の補償内容を確認してみてください。
| 事故の状況 | まず確認したい補償 | 整骨院通院でのポイント |
|---|---|---|
| 自分の過失100% | 人身傷害保険、自損事故保険など | 自賠責ではなく自分の任意保険を確認 |
| 自分の過失が大きいが100%未満 | 相手の自賠責、人身傷害保険 | 過失による減額や補償内容に注意 |
| 単独事故 | 人身傷害保険、自損事故保険 | 相手の自賠責は存在しない |
| 仕事中・通勤中 | 労災保険 | 健康保険ではなく労災の扱いを先に確認 |
同乗者の補償とは分けて考える
なお、運転者本人が100%加害者でも、同じ車に乗っていた家族や友人まで同じ扱いになるとは限りません。
同乗者は事故によってケガをした「被害者」として扱われ、自賠責や任意保険の補償対象になることがあります。
つまり、「自分の車の自賠責があるから運転者本人も使える」という理解ではなく、誰が誰に対して損害賠償責任を負う事故なのかを見る必要があります。
運転者本人と同乗者では、同じ車内にいても使える補償が違うことがあるわけです。
最初は整形外科を受診する
加害者側であっても、事故後に痛みやしびれ、頭痛、めまいなどがあるなら、まず整形外科などの医療機関で診察を受けることをおすすめします。
整骨院では、レントゲンやMRIによる画像検査、薬の処方、医学的な診断はできません。
見た目には軽い事故でも骨折や神経への影響が隠れていることがありますし、事故から時間が空くほど「その症状が事故で起きたものなのか」を説明しにくくなることがあります。
医師の診断を受けたうえで、筋肉や関節の痛みに対して整骨院の施術を併用する流れにすると、体の状態を確認しながら通いやすくなります。
事故後の痛みやしびれがある場合は、整形外科で画像検査が必要になることもあります事故後に何をすればよいか迷っている方は、当サイトの交通事故に遭った直後の対応についてのページもあわせて確認してください。
交通事故の加害者が整骨院に通う際の保険と注意点
使える保険の候補が分かったら、次は「どの順番で手続きをするか」が大事です。
特に、整骨院へ先に何度も通ってから保険会社へ連絡すると、施術費の支払いについて確認が必要になる場合があります。
ここからは、保険会社への連絡、整形外科との併用、健康保険の扱い、慰謝料や等級への影響まで、実際に質問されやすい部分を順番に解説します。
保険会社へ先に連絡する
自分が加害者側の事故で整骨院へ通う場合、まず自分の任意保険会社へ連絡し、自分自身もケガをしていることを伝えてください。
事故の報告だけをして、「相手への賠償」の話しか進んでいないことがあります。
対人賠償や対物賠償は相手への補償なので、自分のケガについては別に人身傷害保険などの担当部署へつながることがあります。
その際は、現在の症状、受診した医療機関、整骨院への通院を希望していることを伝えます。
保険会社から通院先の名称や電話番号を聞かれたら、鹿大前整骨院へ通院したい旨を伝えてもらえれば、その後の確認が進みやすくなります。
保険会社へ伝えておきたい内容
連絡するときは、「事故日」「自分のケガの部位」「受診した整形外科名」「整骨院への通院希望」「人身傷害保険の対象になるか」「整骨院への直接払いが可能か」をまとめて伝えると確認が早くなります。
事故直後は相手への謝罪や車の修理のことで頭がいっぱいになり、自分の症状を後回しにしがちです。
ところが、数日たって首が回しにくくなったり、腰痛が増したりするケースもあります。症状が出ているなら、その時点で保険会社にも追加で伝えておきましょう。
加害者側で自分も負傷した場合は、自分のケガについても任意保険会社へ伝えます窓口負担0円とは限らない
交通事故の整骨院通院では「窓口負担0円」という表現をよく見かけます。ただし、加害者側の通院では必ず0円になるとは言えません。
人身傷害保険で保険会社が整骨院へ施術費を直接支払う対応になれば、患者さんが窓口で支払わずに済む場合があります。
一方、保険会社が整骨院への直接払いを行わない場合や、施術の補償対象について確認中の場合は、いったん費用を立て替えるケースもあります。
また、健康保険を使って整骨院へ通う場合は、原則として健康保険の自己負担分が発生します。つまり、「交通事故だから0円」ではなく、どの保険をどの形で使うかで窓口負担が変わるということです。
来院前に「人身傷害保険で整骨院の施術費を直接支払えるか」「立替が必要か」を保険会社へ確認しておくと、受付時の行き違いを防ぎやすくなります。
健康保険を使える場合もある
交通事故によるケガでも、条件を満たせば健康保険を使える場合があります。
相手のいる事故で健康保険を使うときは、「第三者行為による傷病届」などの手続きが必要になるケースがあります。
ただし、整骨院で健康保険の対象になるのは、骨折、脱臼、打撲、捻挫、肉離れなど、健康保険上の要件を満たす負傷です。
単なる肩こりや筋肉疲労を交通事故の健康保険扱いにすることはできません。
また、骨折や脱臼について柔道整復師の施術を健康保険で受ける場合は、応急手当を除き、あらかじめ医師の同意が必要です。
さらに、同じ負傷について病院や診療所で健康保険による治療を受けている期間に、整骨院でも健康保険を重ねて使うことはできない扱いがあります。
交通事故では「整形外科にも通いながら整骨院にも通いたい」という希望が多いため、健康保険を使う場合は特に注意が必要です。
任意保険での施術費支払いと、健康保険での療養費では制度が違うので、同じ感覚で考えないほうがいいでしょう。
特に健康保険を使う場合は、「交通事故なのに保険証を出せば終わり」と考えないことが大切です。
相手がいる事故では保険者側の手続きが必要になることがあり、仕事中・通勤中なら労災が関係する場面もあります。
保険の入口を間違えると、後から請求方法を変更することになり、患者さん自身の手間が増えてしまいます。
整形外科との併用は記録の面でも大切
人身傷害保険などで整骨院へ通えることになっても、整形外科の受診をすぐにやめるのはおすすめしません。
整形外科では医師が診察し、必要に応じて画像検査や薬の処方などを行います。
一方、整骨院では柔道整復師が関節の動きや筋肉の状態を確認し、捻挫や打撲などに対する施術を行います。役割が違うため、併用することで状態を確認しやすくなります。
また、症状が長引いた場合には、事故後からどのような症状があり、どのような医学的経過をたどったかという記録が重要になることがあります。
整骨院だけでは医学的な診断書や後遺障害診断書を作成できません。
◆院長のワンポイントアドバイス
整骨院へ通うこと自体と、病院へ通わなくてよいことは同じではありません。
首のしびれが増えた、頭痛が増した、力が入りにくいなど症状が変わったときは、施術だけで様子を見続けず医療機関で状態を確認してください。
医師の許可は必ず必要なのか
交通事故の整骨院通院について、「必ず医師の許可書がないと一切通えない」と説明されることがありますが、少し分けて考える必要があります。
健康保険の柔道整復では、骨折や脱臼に対する施術は、応急手当を除いて医師の同意が必要です。一方、捻挫や打撲についてまで、すべて法律上同じ形の同意書が必須になるわけではありません。
ただし、交通事故の損害として整骨院の施術費を保険会社に負担してもらう場面では、施術の必要性や事故との関係が問題になることがあります。
そのため、事故後に整形外科で診断を受け、整骨院を併用することを医師にも伝えておくほうが、後の説明はしやすくなります。
保険会社にも事前に通院先を伝え、補償対象になるか確認したうえで始めるのが無難です。
加害者でも慰謝料はもらえるのか
この質問もかなり多いのですが、「加害者」という呼び方だけで一律に決まりません。
相手にも過失があり、自分が相手車両の自賠責保険上の被害者にあたる場合は、傷害慰謝料などが支払われる可能性があります。
ただし、自分の過失が大きい場合は、自賠責の重大な過失による減額が関係することがあります。
一方、100%自分の過失の事故では、相手に自分への賠償責任がないため、相手から入通院慰謝料を受け取る考え方にはなりません。
ただ、人身傷害保険に加入している場合は、契約の基準に基づいて治療費や休業損害などが補償されることがあります。
ここは「慰謝料」という言葉だけで比較すると分かりにくいところです。相手からの損害賠償なのか、自分の保険契約から支払われる保険金なのかを分けて考えてください。
人身傷害を使うと等級は下がるのか
人身傷害保険だけを使った事故を、等級制度上のノーカウント事故として扱う商品はあります。
ただし、同じ事故で対人賠償保険、対物賠償保険、車両保険なども使っていると、事故全体として翌年の等級や保険料へ影響することがあります。
加害事故では相手の車の修理やケガへの賠償で別の補償を使っていることも多いため、「人身傷害を使っても絶対に保険料は上がらない」とは言い切れません。
保険会社へ連絡するときに、「今回、自分のケガで人身傷害を使うと等級はどう扱われますか」「すでに対物賠償を使う予定ですが、翌年の契約にどう影響しますか」と確認しておくと分かりやすいですよ。
通院頻度は症状に合わせて決める
保険が使えると分かると、「毎日通ったほうがいいですか」と聞かれることがあります。
しかし、通院回数を増やすこと自体が目的になるのはおすすめできません。
事故直後は痛みが大きく、日常生活や仕事に支障があるため間隔を詰めた施術が必要な方もいます。
逆に症状が軽く、回復が進んでいるなら、状態を見ながら間隔を空けることもあります。
大事なのは、事故の衝撃、痛む部位、動作での変化、仕事や生活への影響を確認し、その時点の状態に合った通い方をすることです。
事故後の症状や生活への影響を確認しながら施術計画を考えます仕事中や通勤中の事故は労災も確認する
業務中や通勤途中に起きた交通事故であれば、労災保険が関係することがあります。
自分の過失が大きい事故であっても、業務災害・通勤災害の要件を満たすかどうかは別に判断されます。
仕事中の交通事故なのに、何も確認せず健康保険を使うと後で手続きの変更が必要になることがあります。
会社にも事故を報告し、労災の対象になる可能性を確認したうえで通院先を決めると進めやすいですよ。
交通事故の加害者と整骨院のFAQ
Q1. 追突した側でも整骨院に通えますか?
A. はい。追突した側でも、自分に首や腰などのケガがあれば整骨院で施術を受けることはできます。ただし、100%過失の場合は自賠責で自分のケガを補償できないため、人身傷害保険など自分の任意保険を確認する流れになります。
Q2. 加害者でも整骨院の窓口負担は0円になりますか?
A. 人身傷害保険などで保険会社が施術費を直接支払う対応になれば、窓口での支払いが発生しない場合があります。ただし、契約内容や事故状況によって立替が必要なケースもあるため、一律に0円とは言えません。
Q3. 自分の過失が80%でも相手の自賠責は使えますか?
A. 相手にも過失があり、自分のケガについて相手に損害賠償責任が認められる場合は、自賠責の対象になる可能性があります。ただし、重大な過失による減額が関係する場合があるため、過失のない被害者と同じ扱いになるとは限りません。
Q4. 整骨院だけに通っても大丈夫ですか?
A. 事故後はまず整形外科で診察を受け、その後も症状に応じて医療機関で経過を確認することをおすすめします。整骨院では画像検査や医学的な診断、薬の処方、後遺障害診断書の作成はできません。
Q5. 自損事故でも整骨院に通えますか?
A. 通院自体は可能です。自損事故では相手の自賠責を使えないため、人身傷害保険や自損事故保険など、自分の契約している補償を確認します。保険を使わない場合は自費での施術も選択肢になります。
交通事故の加害者が整骨院へ通うときのまとめ
交通事故で加害者側になっても、ケガをしているなら整骨院で施術を受けることはできます。
大切なのは、「加害者だから通えない」と考えるのではなく、事故の過失割合と自分が加入している保険を分けて確認することです。
100%自分の過失や自損事故では、自分の自賠責保険で自分のケガを補償することはできません。その場合は、人身傷害保険や自損事故保険などが候補になります。
反対に、自分の過失が大きくても相手にも過失がある事故なら、相手の自賠責保険が関係する可能性があります。
そして、事故後は整骨院へ直行するだけではなく、まず整形外科で体の状態を確認しておくこと。
さらに、整骨院へ通う前に保険会社へ自分のケガと希望する通院先を伝えておくこと。この2つを押さえるだけでも、施術費をめぐる行き違いは減らしやすくなります。
鹿大前整骨院では、交通事故後の首や腰の痛みなどについて、事故状況や保険の確認内容を伺いながら施術を進めています。
「自分が加害者側だけど通えるのか分からない」という段階でも、現在の症状と保険会社から言われている内容を確認しながらお話しします。



